トロリとした粘り気がクセになるカスピ海ヨーグルト。粉末種菌から作るカスピ海ヨーグルトには「植え継ぎながら長い期間ヨーグルトを育てることが出来る」という大きな魅力があります。市販のヨーグルトを種菌にすると2、3回で自家製ヨーグルトの味が落ちてしまうため、こうはいきません。
しかもカスピ海ヨーグルトには高い健康効果と美容効果もあるとされ、毎日食べるには最適なヨーグルトなんです。ということで今回は、コスパが良くていいこと尽くしのカスピ海ヨーグルトをヨーグルトメーカーを使って作ってみたいと思います!
カスピ海ヨーグルトのヒミツ
長寿の国のヨーグルト
カスピ海ヨーグルトのルーツはヨーロッパ東部の黒海とカスピ海に囲まれたコーカサス地方です。その一帯は100歳を超えるお年寄りが元気に暮らす世界でも屈指の長寿地域。コーカサス地方の「ジョージア(旧グルジア)」のヨーグルトを日本に持ち帰り、乳酸菌を厳選して作られたのが酸味が少ない独特の粘り気を持つカスピ海ヨーグルトです。
植え継ぎに最適
種菌の説明書にもありますが、上手く植え継ぎすれば1袋で最長3カ月、作り続けることができます。長く使える粉末種菌は、カスピ海ヨーグルトの他に「ダヒ」が挙げられますが、それでも使用期間の最長は1カ月とされており、カスピ海ヨーグルトほど長持ちする種菌は他にありません。
美肌効果
カスピ海ヨーグルトは他のヨーグルトに比べて、ストレスによる皮膚機能の低下を抑える効果も高いそうです。これはカスピ海ヨーグルトの粘り成分によるものと考えられています。
常温で作れる
カスピ海ヨーグルト作りに最適な温度は27℃ですが、20~30℃あれば作れるので、ヨーグルトメーカーが無くても作ることが出来ます。
これだけ準備すればOK
カスピ海ヨーグルトの粉末種菌
まず、カスピ海ヨーグルトの粉末種菌が必要です。今回はフジッコの粉末種菌を使います。使用する種菌の量は牛乳500mlにつき種菌1袋(3g)。自家製ヨーグルトは牛乳に種菌を混ぜて作るんですが、種菌が粉末だと牛乳に溶けやすくて使いやすいです。
成分表示の原材料名には「クレモリス菌・アセトバクター菌混合培養液、脱脂粉乳」と記載されてます。甘味料や添加物が入ってないのは良いですね。また、すぐ使わない種菌は常温でも保存できますが、乳酸菌のダメージを防ぐためには冷蔵庫で保存する方がよいとのこと。
牛乳
牛乳は成分表示の種類別名称に「牛乳」と書かれた成分無調整のものを選ぶと失敗しにくいです。それ以外の物を使うとうまく固まらない場合があります。
また、新品の牛乳を使うことも大事。雑菌が繁殖してヨーグルト作りが失敗する可能性があります。
牛乳の種類とヨーグルトへの向き不向き
ヨーグルトメーカーの説明書をもとに牛乳の種類と、どの牛乳がヨーグルト作りに使えるのかを表にまとめたのでチェックしてみてくださいね。
牛乳 | ○ | 固まります。種類別が「牛乳」と記載してあるものを選びましょう。 |
---|---|---|
スキムミルク | ○ | 牛乳に一割程加えるとよく固まります。スキムミルクのみでも作れます。 |
加工乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
低脂肪乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
無脂肪乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
成分調整牛乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
低温殺菌牛乳 | △ | 固まらない事があります。沸騰させ30℃以下に冷まして使いましょう。 |
ノンホモ牛乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
乳飲料 | × | 固まりません。 |
無調整豆乳 | ○ | よく固まります。大豆固形分6.5%以上のものを選びましょう。 |
調整豆乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
豆乳飲料 | × | 固まりません。 |
牛乳の種類によってヨーグルトの味も違ってくるので、ヨーグルト作りに慣れてきたら、使う牛乳を変えてみて、ヨーグルトの味の変化を楽しむのも面白いですよ。
成分表示を見なくても、実はひと目で「牛乳」か「加工乳」かを見分けることができるんです。
一口メモ - 牛乳と乳飲料の見分け方
牛乳をひと目で見分けるポイントは赤丸の部分。
左が「牛乳」で右が「乳飲料」です。牛乳には「切欠き(きりかき)」というくぼみが付いていて、加工乳には無いんです。このくぼみは目が不自由な方でも判別できるように付けられています。
乳飲料のような加工乳もパッケージは牛乳に似ていることが多いので、なかなか見分けがつきにくいですが、この違いは明確で分かりやすいですね。
ヨーグルトメーカー
カスピ海ヨーグルトは20~30℃の常温で作れるので、ヨーグルトメーカーは必須ではありません。ただ、フジッコ公式ホームページの手作り「カスピ海ヨーグルト」応援サポート隊!によると発酵の適温は27℃とのことで、今回はヨーグルトメーカーを使って27℃で発酵させます。
今回使うヨーグルトメーカーは「アイリスオーヤマ ヨーグルトメーカープレミアム」です。プレミアムの一番の特徴はお手頃価格でありながら機能が充実してる点。温度設定とタイマーの基本機能をしっかり押さえながら、3,000円弱で買えてコスパが良いんです。
プレミアムで作れるヨーグルトはカスピ海ヨーグルトだけでなく、プレーンヨーグルトはもちろん、R1ヨーグルトやLG21などの高機能ヨーグルトなど何でもいけます。おまけに甘酒などの発酵食品も作れるという優れもの。
カスピ海ヨーグルトの作り方を写真で解説
それではいよいよ粉末種菌の説明書を参考にカスピ海ヨーグルトを作っていきたいと思います!
牛乳パックに種菌を入れて振る
まず牛乳に種菌を1袋入れます。1Lの牛乳を使うなら2袋入れてください。市販のヨーグルトを種菌にして作る場合は、種菌の量を計らないといけないんですが、粉末種菌を使うと1袋全部使えばいいので、種菌の量を計る必要がないのは楽。
種菌を入れたら牛乳パックの口を閉じて軽く振ります。牛乳パックの口を手で持って振ると中身がこぼれるのではないかと心配になりますが、粉末種菌が全体に行きわたるよう優しく振れば大丈夫です。
植え継ぎする時は
粉末種菌ではなく完成したカスピ海ヨーグルトを使って植え継ぎする場合は、牛乳にヨーグルトが溶けにくいので、スプーンが必要になります。その際は、雑菌が繁殖してヨーグルト作りが失敗しないよう、スプーンを台所用洗剤で洗い、熱湯消毒してから中身をかき混ぜるようにしましょう。
CHECK
ヨーグルトメーカーにセットする
下準備が終わったら後はヨーグルトメーカーにセットするだけ。
温度を27度、
タイマーを24時間に設定します。
気温 | 発酵時間 |
---|---|
25~30℃ | 24時間~ |
20℃ | 72時間 |
2回目以降の発酵時間
粉末種菌から作る場合は待ち時間が長く感じますが、植え継ぎする2回目以降は、既に完成したカスピ海ヨーグルトを種にする事になるので、粉末種菌から作るより短時間でヨーグルトが完成します。
気温 | 発酵時間 |
---|---|
25~30℃ | 6時間~ |
20℃ | 48時間 |
24時間後、完成したカスピ海ヨーグルトはこちら。カチッと固まってて見た目はプレーンヨーグルトとほとんど変わりません。
市販と自家製カスピ海の粘度は違う
市販のカスピ海ヨーグルトにはトルコアイスのような粘りがありますが、自家製で作った物にも同じだけの粘りがあるのかをチェックしたいと思います!
自家製の方も粘りはありますが、やはり市販の方がより粘り気が強い。見た目よりも食べた方が違いが分かりやすかったです。食べ比べると市販の方がより粘度が高く、もったりとして重みがあります。自家製の方が軽い感じ。味に関してはそれほど変わらない感じがしました。
カスピ海を水切りしてみた
カスピ海ヨーグルトを水切りすると濃厚なギリシャヨーグルトができそうだということで、「水切りヨーグルトができる容器」を使って水切りしました。
3時間水切りしましたが、カスピ海ヨーグルトを水切りするにはフィルターの目が大き過ぎて、自家製ヨーグルトがそのまま下に流れてしまいました。
ただ、カスピ海ヨーグルトは水切りできないわけではなく、キッチンペーパーやガーゼを使えばちゃんとギリシャヨーグルトは作れます。
不思議とクセになるカスピ海ヨーグルト
何回も植え継ぎできるので、本当にヨーグルトを育てている、という感覚が味わえるのはカスピ海ヨーグルトならではです。ちょっと秘伝の味噌やタレを自分で作ってるような感じがしてきます。
初めて食べると、酸味の無さと独特の食感に戸惑う方もいらっしゃるかと思いますが、何度か食べてると不思議とクセになるんです。色んなトッピングで食べてみるとカスピ海は何と一緒に食べても美味しいヨーグルトだと感じられるはず!定番ですがフルーツと蜂蜜をかけて食べると美味しいです。