ケフィアヨーグルトってご存知ですか?乳酸菌以外に『酵母』が含まれているので健康に良い。ということで、日本でも一時期ブームになりました。名前は聞いたことがあっても、「売っているのを見たことがない」方も多いと思います。
今回はスーパーでもたまに見かけるケフィアの種菌「ホームメイド・ケフィア」を使い、実際にケフィアを作ってみました。ケフィアは常温でも作れる事が特徴のひとつなので、今回はヨーグルトメーカーを使わないで作っていきたいと思います!
ケフィアヨーグルトをスーパーで見かけない理由
実は日本ではケフィアは粉末種菌でしか売られてないんです。
理由としては、ケフィアに含まれる酵母が発酵することで炭酸ガスが発生するため、容器が圧力によって壊れる可能性があるからです。
ヨーロッパなどでは容器にピンホールを空けてケフィアが売られていますが、日本では食品衛生法で容器を密閉するよう決められており、容器に穴を空けて商品を売ることができないようです。
ケフィア4つの特徴
長寿地帯のヨーグルト
ケフィアヨーグルトは、ヨーロッパ東部の黒海とカスピ海に囲まれたコーカサス地方のヨーグルトです。その一帯は100歳を超えるお年寄りが元気に暮らす世界でも屈指の長寿地帯。ケフィアが長寿の秘訣の一つなのかもしれません。
神様の贈り物
ケフィアはかなり昔からあるヨーグルトで、あのマホメットがケフィアの種菌を配りながら布教した。という言い伝えがあるほど。そのためケフィアは「神様の贈り物」とも呼ばれます。
常温で作れる
ケフィアヨーグルト作りに最適な温度は25℃ですが、実際には20~30℃の範囲であれば発酵するので、ヨーグルトメーカーがなくても作ることが出来ます。電気や冷蔵庫がない地方にとっては画期的な保存食になったのではないでしょうか。
乳酸菌と酵母のダブルパワー
健康にはたくさんの菌を摂ることも重要とされています。ケフィアには普通のヨーグルトよりもたくさんの種類の乳酸菌が入っていますが、最大の特徴は酵母まで入っていること。酵母も菌類の一種です。
「酵母と聞いて思い浮かぶのはパンくらい」という方も多いかと思いますが、酵母の健康効果って実はすごいんです。ダイエットやアンチエイジングにも効果的だと言われていますが、主な効果を下にまとめてみます。
酵母の効果
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生活習慣病の予防
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免疫力を高める
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腸内環境を整える
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アミノ酸・ビタミン・ミネラルの補給
準備するのは種菌と牛乳のみ!
ケフィアヨーグルトを作るのに必要なのは種菌と牛乳のみ。でも冬場はヨーグルトメーカーも必要です。
ケフィアの粉末種菌
まず粉末種菌が必要です。今回は「ホームメイド・ケフィア」を使います。使用する種菌は牛乳1Lにつき種菌1袋(10g)。粉末なので牛乳に溶けやすく使いやすいです。
成分表示の原材料名には「脱脂粉乳・乳酸菌酵母菌末」と記載されてます。甘味料や添加物が入ってないのは良いですね。また、保存方法は「冷蔵庫(10℃以下)で保存してください」とのこと。
見た目は割と粒子が大きくて粉チーズっぽい感じ。クルトンを小さく砕いた欠片のようなものも入ってますが、これが酵母なんでしょうか。
牛乳
牛乳は成分表示の種類別名称に「牛乳」と書かれた成分無調整のものを選ぶと失敗しにくいです。それ以外の物を使うとうまく固まらない場合があります。
また、新品の牛乳を使うことも大事。雑菌が繁殖してヨーグルト作りが失敗する可能性があります。
牛乳の種類とヨーグルトへの向き不向き
ヨーグルトメーカーの説明書をもとに牛乳の種類と、どの牛乳がヨーグルト作りに使えるのかを表にまとめたのでチェックしてみてくださいね。
牛乳 | ○ | 固まります。種類別が「牛乳」と記載してあるものを選びましょう。 |
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スキムミルク | ○ | 牛乳に一割程加えるとよく固まります。スキムミルクのみでも作れます。 |
加工乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
低脂肪乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
無脂肪乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
成分調整牛乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
低温殺菌牛乳 | △ | 固まらない事があります。沸騰させ30℃以下に冷まして使いましょう。 |
ノンホモ牛乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
乳飲料 | × | 固まりません。 |
無調整豆乳 | ○ | よく固まります。大豆固形分6.5%以上のものを選びましょう。 |
調整豆乳 | △ | 固まりが弱かったり分離することがあります。 |
豆乳飲料 | × | 固まりません。 |
牛乳の種類によってヨーグルトの味も違ってくるので、ヨーグルト作りに慣れてきたら、使う牛乳を変えてみて、ヨーグルトの味の変化を楽しむのも面白いですよ。
成分表示を見なくても、実はひと目で「牛乳」か「加工乳」かを見分けることができるんです。
一口メモ - 牛乳と乳飲料の見分け方
牛乳をひと目で見分けるポイントは赤丸の部分。
左が「牛乳」で右が「乳飲料」です。牛乳には「切欠き(きりかき)」というくぼみが付いていて、加工乳には無いんです。このくぼみは目が不自由な方でも判別できるように付けられています。
乳飲料のような加工乳もパッケージは牛乳に似ていることが多いので、なかなか見分けがつきにくいですが、この違いは明確で分かりやすいですね。
ケフィアヨーグルトの作り方を写真で解説
それではいよいよ粉末種菌の説明書を参考にケフィアヨーグルトを作っていきたいと思います!
牛乳を温める
この作業は必須ではありませんが、説明書には室温が20℃以下の場合は牛乳を電子レンジで2~3分温めるよう記載されています。
何で牛乳を温めるといいの?
ヨーグルト作りは、種菌となるヨーグルトと牛乳を混ぜて乳酸菌を発酵させていくんですが、乳酸菌にはそれぞれ発酵しやすい温度があります。
ケフィアヨーグルトの乳酸菌が発酵しやすい温度は20~30℃ですが、冷蔵庫から出したばかりの冷たい牛乳だと、そこまで上がるのに時間がかかってしまいます。
なので気温が低い時は、事前に牛乳を温めることでスムーズに発酵を進めることが出来るんです。
牛乳パックに種菌を入れて振る
牛乳に種菌を1袋入れます。
種菌を入れたら牛乳パックの口を閉じて軽く振ります。牛乳パックの口を手で持って振ると中身がこぼれないか心配になりますが、粉末種菌が全体に行きわたるよう優しく振る程度なら大丈夫。
もし混ぜるのにスプーンを使う場合、雑菌の繁殖を防ぐためにスプーンの熱湯消毒が必要になります。これだと手間が増えて面倒なので、牛乳パックごとシェイクして混ぜるのがおすすめです。
下準備が終わったら牛乳パックの口をキャップで閉じて待つだけ。上でも書きましたがケフィアの最適温度は25℃ですが、今は5月で室温はぴったり25℃でした。
気温が低い時はヨーグルトメーカーが必要になります。ヨーグルトメーカーは温度管理がしっかりできるヨーグルティアSがおすすめ。
完成したケフィアヨーグルト
そんなこんなで24時間後、完成したケフィアヨーグルトがこちらです!しっかり固まっています。
味は酸味が少ないので食べやすいです。食感は普通のヨーグルトに比べて少し柔らかめ。ヨーグルトのさっぱり感はあまり感じません。独特の味がして体に良さそうというか、デザートというより料理に出てきそうな感じ。
ケフィアを水切りしてみた
ケフィアヨーグルトは酸味が少ないのでギリシャヨーグルトにもあいそう、ということで「水切りヨーグルトができる容器」を使って水切りしてみます。
500mlのケフィアを3時間水切りしたら、ホエイは140mlくらい取れました。
ケフィアヨーグルトのホエイは酸味がほとんどありません。ヨーグルトのホエイって酸味は強いけどさっぱりしてる印象があるんですが、これはさっぱりと言う感じではなく、少し料理の出汁っぽさがある。しっかり味が付いていて、これが酵母の味なのかなと思わされます。
完成したギリシャヨーグルトがこちら。硬さはゆるめの仕上がりで、もう少し濃厚さが欲しいかな。ヨーグルトのキメは粗く、正直ケフィアはギリシャヨーグルトにするにはあまり向かない?気がしました。
植え継ぎは推奨されていません
ケフィアは普通のヨーグルトよりも菌の種類が多く雑菌に対して繊細なため、高温多湿になりがちな日本では植え継ぎに向かないそうです。
そのため種菌の説明書にも「毎回新しい高活性ケフィア菌を開封してお使いください」と明記されています。ケフィアヨーグルトは作ったら全部食べきるのが基本スタイルです。
酵母の味?味にクセのあるヨーグルト
ケフィアヨーグルトは酸味が少ないので食べやすいんですが、ケフィア独特の味みたいなものがあるので、普通のヨーグルトに慣れていると少し違和感を感じるかもしれません。ケフィアと同じく酸味が少ないヨーグルトには「ダヒヨーグルト」がありますが、食べやすさで言えばダヒの方が癖が少ないかなと思いました。
日本で手に入るケフィアの種菌には割と種類があるので、どれが自分に合うのか試してみるのも楽しそうですね。